エマージェント・バイオソリューションズ(Emergent BioSolutions Inc.)は生命科学会社である。
【事業内容】
同社は偶発的かつ自然発生的な公衆衛生上の脅威に対処する専門製品を民間人および軍人へ提供することを通じて生命健康の保護と強化に集中する。同社は公衆衛生脅威(PHTs)に対処する医療対策の開発、製造、商業化の集中する。PHTsは化学、生物、放射線、核及び爆発的な脅威と新たな感染症、2つのカテゴリで展開する。同社はワクチンと抗感染薬、抗体療法、デバイスと契約製造、四つのビジネスユニットで事業を展開する。ワクチンと抗感染薬ユニット炭疽病の一般的な予防および曝露後の予防用のBioThraxを含む。デバイスビジネスユニットは反応性皮膚除染ローションキット(RSDL)とトロビガード(硫酸アトロピン、塩化オビドキシム)などの市販されている製品を含む。
ワクチン製造の下請け会社
エマージェント・バイオソリューションズ(ティッカーシンボル:EBS)は、ワクチンの製造に特化した会社で、例えるなら、半導体製造のファンドリーのような存在だと思えばよいだろう。
半導体の世界では、半導体デザイン会社が図面を引き、それを製造下請けであるファンドリーに持ち込んで実際のチップを製造する。それと同じように、バイオ企業がデザインしたワクチンの製法をエマージェント・バイオソリューションズに持ち込み、同社はクライアント企業の指示通りにワクチンを量産するというわけだ。
もともとエマージェント・バイオソリューションズは、炭疽菌(たんそきん)によるバイオテロが起きたとき、それに対抗するためのワクチンを生産するところから会社をスタートさた。今日のアメリカでは、炭疽菌ワクチン(売上高1.73億ドル)と天然痘ワクチン(売上高2.40億ドル)に関しては、エマージェント・バイオソリューションズが唯一のサプライヤーとなっている。
そのような関係から、エマージェント・バイオソリューションズは、合衆国保険福祉省や防衛・国家安全保障関係省庁と深いパイプがある。つまり「国策企業」というわけだ。
なお、炭疽菌ワクチンや天然痘ワクチンには「賞味期間」があり、備蓄されたワクチンが古くなるとそれは効かなくなるので、廃棄処分にされる。つまり、アメリカでは、これらのワクチンの備蓄のうち25%は使われなくても毎年新しいものに交換されるため、「リピート・ビジネス」になっているのだ。
なお、エマージェント・バイオソリューションズのその他のビジネスとしては、鎮痛薬として使用される「オピオイド」の中毒患者が過剰摂取で病院に担ぎ込まれた際に投与される「ナルカン」という薬の製造が挙げられる。
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